高齢者、犬の散歩で骨折リスク 米で救急外来受診増える
(CNN) 高齢者にとって適度な運動は健康のためになり、ペットを飼えば散歩に出かける動機になる。しかし残念ながら、高齢者の犬の散歩は骨折のリスク増大につながるという調査結果が、このほど医学誌JAMAに発表された。
ペンシルベニア大学の研究チームは、米消費者製品安全委員会の統計をもとに、米国で2004~17年の間に病院の救急外来を受診した患者について調べた。
その結果、犬の散歩に関連して骨折した65歳以上の患者は3万2000人を超えることが判明。2004年に1671人だった患者は、17年には4396人に増えていた。
医師などが高齢の患者に運動を勧める場合、リスクの多い患者を見極める必要があると研究チームは指摘する。
高齢者はただでさえ、加齢に伴って骨密度が低下したり、転びやすくなったりして骨折が増える傾向にある。高齢女性が散歩の必要な犬を飼っている場合、特にけがに関連したリスクが高くなるという。今回の調査でも、骨折した患者の78.6%は女性だった。「犬を飼おうと考えている高齢女性は、このリスクを認識する必要がある」と研究チームは強調する。
ただし今回の調査には、救急外来を受診しなかった患者や、骨折を伴わない軽傷の患者は含まれていない。
「特に1人暮らしの高齢者や、骨密度が低下している高齢者は、犬の散歩に関連したリスクについて検討する必要がある」と研究チームは述べ、「たとえ1度でもそうしたけがをすれば、命にかかわりかねない腰部骨折や、生涯にわたる合併症を負う可能性もあり、自立した生活ができなくなるかもしれない」と警鐘を鳴らしている。
散歩中のけがを防ぐためには、犬がリードを強く引っ張らないよう訓練したり、小型犬を勧めたりするなどの対策が求められる。