超音速機による衝撃波同士の衝突、NASAが初めて撮影
(CNN) 米航空宇宙局(NASA)は8日までに、超音速機の衝撃波同士がぶつかる様子を捉えた画像を公開した。衝撃波による大音響(ソニックブーム)を出さない超音速機の開発に向けた取り組みの一環。
撮影には10年をかけて開発した空対空撮影の新技術を使用し、超音速機2機が生み出す衝撃波の相互作用を初めて画像に捉えた。
画像に写っている2機は米空軍の超音速練習機T38。米カリフォルニア州にあるエドワーズ空軍基地の研究センターから試験飛行を行った。
NASAの研究員ニール・スミス氏は「興味深いのは、後続のT38の衝撃波が相互作用の中で曲がっている点だ」と指摘する。後続機は前方を飛ぶ機体の後流に入るため、衝撃波の形成の仕方が異なるという。
超音速機による衝撃波は、大気中を伝わる際に組み合わさって特有の大音響を生み出す。このため、陸地上空での超音速飛行には制限が設けられてきた。ソニックブームを出さずに超音速飛行する能力の開発に成功すれば、いつの日か現在の制限が解除されるかもしれない。
今回の試験では新たな撮影技術により、以前の試験の3倍のデータ量を取得することが可能になった。NASAによる静かな超音速機「X59 QueSST」の開発では、この技術が鍵となる役割を果たしそうだ。
NASAのダン・バンクス氏は、この撮影技術で衝撃波の真の流れをモデル化できるようになると指摘する。コンピューターモデルに頼る場合、どうしても「ちょっとしたズレ」が含まれるという。