森林火災で大量死、コアラ絶滅の危惧強まる オーストラリア
(CNN) オーストラリア南部で続く森林火災でコアラ生息地の大部分が焼き尽くされ、コアラが絶滅に一層近付いてしまうのではないかという危機感が強まっている。
南東部ニューサウスウェールズ州のポートマッコーリー・コアラ病院は、11月にポートマッコーリー周辺を襲った森林火災で、遺伝的な多様性をもつコアラの個体群が壊滅的な打撃を受けたと発表し、「国家の悲劇」と位置付けた。
死んだコアラは350匹あまりに上り、火災が起きた場所の約75%はコアラの生息地だった。
同病院はクラウドファンディングサイトの「GoFundMe」を通じ、被災したコアラを助けるための募金を集めている。
オーストラリア動物園によると、生息地の破壊によって個体数が激減し、残ったコアラはわずか約4万匹から10万匹程度にとどまる。
森林火災や生息地の森林伐採、犬による襲撃、交通事故に加え、コアラは米国と欧州の毛皮取引のために、250万匹以上が殺されてきた。
今では国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでコアラは危急種に指定されている。
「コアラの野生の個体は重大な絶滅の危険にさらされており、保護を必要とする」とオーストラリア動物園は強調した。
今回の森林火災ではこれまでに4人が死亡、住宅数百棟が焼失した。
ニューサウスウェールズ州(人口約800万人)では、今回の火災で焼失した面積が、昨年の森林火災シーズンで焼失した面積の既に3倍に上っている。
森林火災は気温の上昇や強風、記録的な干ばつにあおられる形で燃え広がった。オーストラリアは12月から本格的な夏を迎える。