小さな町に住みついたエミューが繁殖、至る所に親子で出没 オーストラリア
(CNN) オーストラリア西部の小さな町に、大型の鳥類エミューが住みついて繁殖し、町の至る所に出没している。エミューをめぐって住民が二分される状況も引き起こした。
西オーストラリア州ナナップは人口約1300人の小さな町。エミューは以前から周辺の草原に生息していたが、昨年半ばごろから町の中心部に姿を現すようになり、そのまま町に住みついた。
飛べない鳥のエミューはオーストラリアの固有種で、体高は最大で1.9メートルと鳥類の中で世界最大級。ナナップの町にはおよそ3家族のエミューが住みついて、合計で20~40羽に達しているという。8~9カ月前には卵が生まれてヒナがかえり、今ではヒナたちも1.8メートルほどに成長した。
町は至る所に糞(ふん)や羽が落ちていて、住民が庭に植えた野菜が餌になり、幹線道路にも脇道にもエミューが出没する。
子育てはメスではなくオスの担当。「大きなオスのエミューがヒナ20匹を連れて歩き回っている」(町会長のトニー・ディーン氏)という。
エミューがやって来た理由は不明。ただ、果物や野菜などの餌が豊富で天敵がほとんどいないためではないかとディーン氏は推測する。
ナナップの町は、花壇や果実を荒らされて迷惑に思う住民と、エミューのおかげで町がユニークな存在になったと歓迎する住民に二分されている。
エミューが駆除されるらしいという噂も流れたが、町が13日、フェイスブックへの投稿で否定した。州の野生生物保護局に問題を報告したものの、「エミューの駆除を許可したことも、支持したことも一切ない」と強調している。
同州では1932年、別の町に住みついた数百羽のエミューに対して軍が派遣され、マシンガンで大量射殺する「エミュー戦争」が起きた過去がある。