ヒマラヤ山脈の氷、産業革命時代の金属汚染の痕跡見つかる
(CNN) 18世紀に英国で起こった産業革命によって、およそ1万キロ離れたヒマラヤ山脈は人類が足を踏み入れる前から有害な金属で汚染されていた――。そんな実態が米オハイオ州立大学などの調査で明らかになった。
研究者は、シシャパンマ山の標高約7100メートルの地点で氷河の採取を行った。氷の分析を行うと、石炭の燃焼と関連した金属汚染が不自然なほど高い水準で見つかった。汚染は1780年代から始まっていたという。
汚染は、ロンドンの工場で出た灰か、人口増加のため土地を切り開く際に森林を燃やしたことから出た残留物による公算が大きい。
オハイオ州立大の研究者によれば、こうした灰は高層大気から来たものと考えられるという。そこから風に乗って西から東へと移動し、ヒマラヤ山脈にたどり着き、雪と一緒に降り注いだ。
1953年まで人類が周囲の山脈に踏み入ることはなかった。氷河の高さを考えると、汚染は、近くの地面から来たというよりは、より高い大気圏から来た可能性のほうが高いという。
今回研究に使われた氷は1997年に国際的な調査団によって収集されたもので、オハイオ州立大の研究室に保存されていた。当時からさまざまな研究が行われているが、科学技術の進展とともに、複雑な分析も行えるようになっている。