邸宅の床下から希少な遺物、15世紀の手稿も 英イングランド
(CNN) 英イングランド東部オックスボローにある邸宅「オックスバラ・ホール」の床下から、中世の手稿や16世紀の衣服、チューダー朝時代の本といった希少な遺物が見つかる出来事があった。
中でも興味深いのは15世紀の手稿だろう。文化財保護団体「ナショナル・トラスト」の学芸員はこの手稿について、エドマンド・ベディングフィールド卿が所有していた可能性がある携帯用の祈祷(きとう)書の一部だと指摘する。ベディングフィールド卿はオックスバラ・ホールを建設した人物。
オックスバラ・ホールは周囲に堀を巡らした邸宅で、ベディングフィールド家が所有していた。現在は観光地となっている。
2016年に屋根で構造上の問題が発覚したことを受け、修復作業を進めていたところ、一連の遺物が見つかった。新型コロナウイルスの影響で、改修作業は考古学者のマシュー・チャンピオン氏がほぼ1人で進めた。
チャンピオン氏が建物を丹念に調べた結果、2つの巨大なネズミの巣に遺物が隠れているのが判明。片方の巣には、織物や楽譜の断片、初期の印刷物、手書きの文書など200点あまりが詰まっていた。
発見された品のひとつを手にする学芸員/From Mike Hodgson/National Trust
ただしチャンピオン氏によると、最も重要なのは建設業者が発見した600年前の手稿と1568年にさかのぼる本だという。後者の本は旧約聖書の詩編を集めたもので、ほぼ無傷で見つかった。他には大英博物館に所蔵中の1冊が知られているのみだという。
オックスバラ・ホールの管理責任者は今回見つかった遺物について、「この邸宅が敬虔(けいけん)なカトリックの一家の隠れ家であった歴史を裏付ける手がかりになる」と説明。この一家は数世紀にわたりカトリック信仰を保持していたと指摘した。