しま模様に着地できないアブ、コントラストの高さが要因 英研究
(CNN) 馬や牛の体を刺すアブがシマウマのようなしま模様を目にすると飛行中の方向感覚を失い、その表面への着地が難しくなることが知られているが、そのメカニズムの謎を調べていた英国の研究者らがこのほど調査結果を発表した。
新たな研究論文は18日刊行の英国王立協会紀要に掲載されている。
論文の共著者で英ブリストル大学教授のティム・カロ氏は、同僚のマーティン・ハウ氏とともに、シマウマ模様の描かれたコートを研究のため飼育している馬に着せて実験を行った。
過去の研究では、しま模様のコートを着た馬に寄ってくるアブは飛行速度を落として体に止まることができなくなることが分かっていた。馬を素通りしたり、体の表面に着地できずにぶつかったりしてしまうという。
今回、カロ氏らは灰色の無地のコートとしま模様のコート、チェック柄のコートを用意。それぞれを馬に着せて寄ってくるアブの動きを観察した。するとしま模様とチェック柄のコートに対しては、着地を避けて飛ぶスピードを上げたり、灰色のコートほどには近づこうとしないことが分かった。
従来、アブの飛行パターンが不安定になるのは、しま模様がもたらす光学上の錯覚によって方向を失っているのが原因だと考えられていた。理容店の前などにあるサインポールは赤・白・青のしま模様がただ回転しているだけなのに上方へ動いているように見えるが、これはそうした錯覚によるものだ。
ただ今回はチェック柄でもアブの方向感覚が失われたことから、しま模様に特有の錯覚が原因なのではなく、コートの柄の際立ったコントラストがアブを混乱させている可能性があると研究者らは結論付けた。
今後は、どのような柄がアブよけに最大の効果を発揮するのか、またその際に模様の大きさやコントラストがどのような役割を果たしているのかについて知見を深めたい考えだ。
カロ氏は、こうした研究が生物科学の進展に寄与するだけでなく、アブの被害を減らしたい畜産農家や馬具のメーカーにとっても大きな利益になると指摘している。