深海の暗闇で光るヨロイザメ、撮影に初めて成功 NZなど研究チーム
(CNN) ニュージーランドとベルギーの共同研究チームはこのほど、生物発光するサメ「ヨロイザメ」が深海の暗闇で光を発する様子を初めて撮影したと明らかにした。
ヨロイザメは生物発光する脊椎(せきつい)動物としては世界最大で、成長すると体長1.8メートルほどになる。
ベルギーのルーバン・カトリック大とニュージーランドの国立水大気圏研究所(NIWA)が2日に発表した研究結果によると、このヨロイザメが見つかったのはニュージーランド南島の東岸沖だという。
生物発光とは、生物が生化学反応を通じて可視光を生成する現象を指す。論文の共著者を務めたルーバン・カトリック大のジェローム・マレフェ氏は3日、CNNの取材に対し、確認されているサメ540種のうち、発光能力を持つと考えられているのは57種あまりだと説明した。
ヨロイザメは世界で最も低速で泳ぐサメの一種だという/Dr. Jérôme Mallefet/FNRS/UCLouvain Belgium
ヨロイザメが発光能力を持つ可能性については以前から標本調査で明らかになっていたものの、水深200~900メートルの深海に生息するため、実際に「観察するのは非常に難しい」(マレフェ氏)という。
今回の研究ではヨロイザメ以外にも、深海ザメの「フジクジラ」と「トゲニセカラスザメ」の2種で生物発光が確認された。
水深200メートル超の深海は薄明かりが届く「トワイライトゾーン」と呼ばれる。マレフェ氏によると、この海域には可視光はないと考えている人も多いが、実際にはサメの役に立つ光が若干あるという。
マレフェ氏は「こうしたサメは姿を隠すために光を利用する」と解説。生物発光によって海面から届くかすかな光に紛れることで、下を泳ぐ天敵から身を守ったり、獲物を捕獲しやすくなったりすると説明する。