中国の大型ロケット、制御不能状態で大気圏突入へ 米国防総省が追跡
ワシントン(CNN) 米国防総省は、制御不能になった中国の大型ロケット「長征5号B」がこの週末にも大気圏に再突入するとみて、追跡を続けていることを明らかにした。残骸の落下地点をめぐる懸念も浮上している。
国防総省報道官の発表によると、長征5号Bは8日前後に地球の大気圏に突入する見通しで、米宇宙軍が軌跡を追跡している。
正確な突入地点は数時間前になるまで特定できない見通しだが、第18宇宙管制隊はロケットの位置に関する最新情報を毎日ウェブサイトに掲載する。
長征5号Bは、中国が宇宙ステーションの部品の打ち上げに使用した。宇宙ごみは大半が大気圏で燃え尽きる。しかし22トンもある長征5号Bの場合、大型部品が人の住む場所に落下すれば被害が発生する恐れもある。
しかし米ハーバード大学の宇宙物理学者ジョナサン・マクダウェル氏はCNNの取材に対し、「警戒すべき状況だとは思わない。何らかの被害が生じたり、誰かに当たったりするリスクは非常に小さい。皆無ではなく、可能性はあるが、あなたに当たる可能性はものすごく小さい」と指摘、「それよりももっと心配すべきことはある」と言い添えた。
ロケットの現在のスピードを考えると、残骸がどこへ向かうかを正確に予測することは不可能だとマクダウェル氏は説明する。状況がほんの少しでも変われば、ロケットの軌跡は大きく変化する。「だから『この場所に落ちるらしい』という話を聞いたとしても、少なくとも突入の数時間前までは、その話を信じてはいけない」と同氏は強調した。
その上で、ロケットの残骸は地球の表面の大部分を覆う海に落下する可能性が最も大きいと予想している。