絶滅と思われたゾウガメの発見、DNAが語るストーリー ガラパゴス諸島
フェルナンダのDNAは驚くべきストーリーを物語っていた。
「驚いたことに、フェルナンダはあの島で100年以上前に見つかった1匹と非常によく似ていた。2匹とも、ほかの島の全てのゾウガメとは全く違っていた」。プリンストン大学のスティーブン・ゴーガン氏はそう説明する。
イエール大学のアダルジーザ・カッコーネ氏によると、フェルナンダはフェルナンディナゾウガメと、近隣の島に生息していて今は絶滅した別の種の間に生まれた交配種だった可能性がある。ただ、確認のためにはフェルナンディナ島でもっとゾウガメを見つける必要がある。
フェルナンダの親類の存在をうかがわせる根拠はある。直近では2014年に、同島でゾウガメのふんが見つかっていた。溶岩に阻まれて島の内部にたどり着くのは難しく、島の大部分はまだ調査が行われていない。
19年にフェルナンダが発見されて以来、2回にわたってゾウガメを探す探検隊が組織されたが、成果はなかった。それでもガラパゴス国立公園や保護団体は、種の保全を目指して取り組みを続ける計画。
フェルナンダは今、国立公園内の保護施設で暮らしている。もしも同じ種のゾウガメが見つかれば、種を存続させるための繁殖プログラムが開始されるかもしれない。
フェルナンダの年齢は推定50歳以上。長期にわたる火山噴火や溶岩流による生息地の縮小を生き延び、未知の種が存在するかもしれないという希望を研究者に与え続けている。