睡眠中の照明、シニア世代の健康に悪影響か 米研究
(CNN) 睡眠中に少しでも光を浴びると糖尿病や肥満、高血圧のリスクが上がることが、60代以上の男女を対象にした新たな研究で明らかになった。
米ノースウェスタン大学医学部の睡眠医学部門を率いるフィリス・ジー博士らのチームが21日、専門誌「スリープ」に発表した。
チームは63~84歳の男女計552人について、腕時計型の加速度センサーを使って睡眠サイクルや平均活動量と、光の量を計測した。
「それぞれの体に装着したセンサーで実際に浴びた光の量を測り、24時間の睡眠、覚せいサイクルとの関係を調べる。この方法はまさに客観的なデータが得られるのが特長だ」と、ジー博士は説明する。
そのデータによると、対象者のうち毎日暗い部屋で5時間以上眠っている人は半数にも満たないことが分かった。
全体の53%以上が、夜間も部屋に何らかの明かりをつけていた。夜に浴びる光の量が多かったグループは、糖尿病や肥満、高血圧になる確率が最も高いことも判明したという。
寝る時の照明が明るい人は就寝時刻、起床時刻が遅いという傾向も明らかになった。夜更かしの人は心血管系、代謝系の異常をきたすリスクが高いことが知られている。
ジー博士らのチームは今年、健康な20代の成人を研究室に宿泊させて、睡眠中の光が体に及ぼす影響を調べた研究の結果を報告していた。音を消したテレビのような弱い光をつけたまま一晩寝るだけで、血糖値や心拍数が上がるという内容だった。
同博士によれば、たとえ弱い光でもまぶたを通過して目に入るため、目を閉じていても睡眠に影響が出る。
これまでの研究で、夜間に心拍数が上がると将来の心臓病や早死にのリスクは高くなることが報告されている。また、高血糖の状態は血糖値を一定に保つホルモン「インスリン」が作用しにくくなっていることを示す場合があり、将来糖尿病につながることも懸念される。
睡眠中の光を減らすには、遮光性のシェードやアイマスクを活用するのもいいだろう。シニア世代は夜トイレに起きることが多いため、寝室を真っ暗にすると転倒する恐れもある。その場合は、できるだけ床に近い位置に明かりをつけるようにする。
テレビやスマートフォンなどの青色光より、体内時計への影響が少ない赤や茶色系の明かりを選ぶほうがいいという。