新型コロナの飲み薬で後遺症のリスク低減か 米研究
(CNN) 新型コロナウイルス感染症の飲み薬のひとつ、米ファイザー製の抗ウイルス薬「パクスロビド(日本ではパキロビッドパック)」に、新型コロナの後遺症リスクを低減する効果もあるとの研究結果が報告された。
研究は米退役軍人省のチームが、新型コロナに感染した退役軍人5万6000人を対象に実施し、5日付で査読前論文の公開サイト「medRxiv」に投稿した。
対象者のうち9000人あまりが、発症から5日以内にパクスロビドを服用していた。全員の電子データを分析した結果、一部の後遺症について、パクスロビドを投与されたグループはそれ以外のグループよりリスクが26%下がることが分かった。
具体的には心臓、肝臓、腎臓の疾患や血液の異常、倦怠(けんたい)感、筋肉痛、神経認知障害、息切れなどの残るケースが減少し、新型コロナと診断された患者100人につき、3カ月後までに後遺症を訴える人を2.3人減らす効果がみられた。急性期から回復した後で入院、死亡するリスクも下がっていた。
一方、後遺症のうち糖尿病の新規発症とせきの2種類については、パクスロビド投与との関連がみられなかった。
対象者の平均年齢は65歳で、新型コロナと診断された時期は今年3~6月。全員が高齢や糖尿病、喫煙習慣など、重症化しやすい要因を1つ以上抱えていた。
パクスロビド投与グループの後遺症リスクは、新型コロナワクチンを接種していたかどうか、初めての感染か再感染かにかかわらず低減したという。
ただし研究の弱点としては、対象者の大半が白人男性に偏っていること、パクスロビドの投与を把握する情報源が退役軍人病院に限られていたこと、多様な後遺症のうち12種類しか扱っていないことが挙げられる。