ロックダウンの中国・鄭州、iPhone工場からも脱走者
ニューデリー(CNN Business) 中国河南省鄭州市で、新型コロナウイルス感染対策のロックダウン(都市封鎖)措置から逃れようと徒歩で脱出する住民らが続出し、市内にある世界最大のiPhone(アイフォーン)工場も従業員の流出に直面している。
この工場は、米アップルの大手サプライヤー、台湾の富士康科技集団(フォックスコン)が中国に持つ最大の生産拠点。
鄭州市では先月、数十人の新型コロナ感染者が見つかったことを受けてロックダウンが導入され、住民が一斉に脱出しようとする動画がSNS上で拡散した。
フォックスコンの従業員らも、工場内の感染拡大や情報不足からパニックを起こし、徒歩で逃げ出そうとしていると伝えられた。
鄭州市がメッセンジャーアプリ「微信(ウィーチャット)」に設けた公式アカウントによると、フォックスコンは先週末、工場の出稼ぎ労働者らが帰省を切望する気持ちは十分に理解していると説明。帰省用の車を手配し、工場にとどまる従業員には当局と協力して健康と安全を保証すると述べた。
同社は1日、工場の従業員らに支給する1日当たりのボーナスを今月は4倍に増額する方針も示した。
アナリストによると、この工場は世界のiPhone組み立て工程のうち、最大で85%を担っている。年末商戦の時期を控え、近い将来に鄭州の状況が安定しなければ、アップルがこの秋発売した「iPhone14」の生産のうち10~30%に影響が及ぶ可能性もある。
フォックスコンの報道担当者は10月31日、中国政府系メディアの河南日報に、別の工場での生産拡大を図っていると語った。
中国のゼロコロナ政策が当分続くとの見通しに基づき、アップルはインドなど他国での増産に乗り出している。