宇宙から繰り返し届く電波信号、地球サイズの惑星に磁場が存在か
(CNN) 米国の天文学者のチームが5日までに、地球から12光年の距離にある地球サイズの太陽系外惑星とその主星の恒星から繰り返し届く電波信号を検知したと発表した。この結果から、この惑星に磁場や大気がある可能性が示唆されるという。
地球の場合、磁場が太陽から届くエネルギー粒子やプラズマをはね返し、大気を守っている。大気は生命が存在するために必要で、太陽系外の惑星に大気を発見できれば、生命の存在可能な他の世界を見つけられる可能性がある。
強い電波が検出されたのはくじら座YZ星とその周囲を回る岩石型惑星のくじら座YZ星b。検出には米ニューメキシコ州にある超大型干渉電波望遠鏡群を利用した。研究者はこの電波信号が惑星の磁場と恒星の間の相互作用から生まれたと考えている。
研究結果は3日、科学誌ネイチャー・アストロノミーで発表された。
論文の筆頭著者でコロラド大学ボルダー校の宇宙物理学者、セバスチャン・ピネダ氏は「最初のバーストを見たときは美しく見えた。再びそれを見たとき、これは何かあるとピンときた」と語る。同氏によれば、惑星の磁場には、恒星からの粒子放出で大気が減少、枯渇するのを防ぐ役割があるという。
ただ、地球から検知可能な電波となると非常に強力なものが必要となる。
科学者はこれまで木星サイズの太陽系外惑星で磁場を検出してきたが、それより小さな惑星では検出が困難だった。
論文共著者でペンシルベニア州バックネル大学助教のジャッキー・ビラドセン氏は声明で「それを見つける方法を探していた」と語る。
「我々は恒星に本当に近く、地球と同様のサイズの惑星を探している。そうした惑星は住むには恒星に近すぎるが、その近さゆえに恒星から来る大量の物質を潜り抜けているからだ。もし惑星に磁場があり、大量の恒星の物質を潜り抜けているなら、明るい電波がその星から発生するだろう」(同氏)
今回観測対象となった惑星bは恒星を2日で公転する。その間に恒星からのプラズマと惑星の磁場が衝突し、相互作用で地球でも検知可能な強力な電波が生まれる。
研究者は惑星の磁場の強さを決定するためにこの電波を計測した。ピネダ氏は「恒星をとりまく環境について、我々はここから新たな情報を得られる。これは我々が『太陽系外の宇宙天気』と呼ぶものだ」と語る。
ただ、惑星から生じた電波に関してより強力な確認を行うには、さらなる研究が必要になるだろうとビラドセン氏は指摘する。今後10年間で運用が始まる新たな電波望遠鏡によって磁場の存在を示唆する信号をより多く検知できることを論文の著者らは期待している。