観光客の苦情で止めた鐘、今度は「あの音がないと眠れない」と住民 イタリア
(CNN) イタリアのトスカーナ州ピエンツァで、歴史的建造物の時計塔の鐘がうるさいと宿泊施設の客から苦情が出たことを受けて夜間に鐘を鳴らすのをやめたところ、今度は地元住民から、鐘の音が聞こえないと眠れないという苦情が出ている。
ピエンツァの広場にある時計塔の鐘は、約560年にわたって鳴り響いてきた。この広場周辺の建物は1459年に建築が始まった。
ピエンツァのマノロ・ガロシ市長がCNNに語ったところによると、現在は午前0時~7時の間、鐘を鳴らすのをやめているという。
「私のもとには住民と、やはり住民である宿泊施設の経営者から苦情が寄せられている」「1年半前に鐘の音と時計の音をデジタル化して以来、苦情が出るようになった」と市長は説明する。
ピエンツァの中心部はユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産に登録されている/Dragoncello/Getty Images
ピエンツァの人口は2100人。国営放送RAIによれば、住民は夜の静寂に慣れていないので眠れないと訴えているという。ある住民は「私たちはここで生まれ、真夜中でもあの音を聞いていた。完全な静寂の中で、あれは生命の証しだった」と語る。
ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産に登録された歴史都市ピエンツァの中心部は15世紀後半、ローマ教皇ピウス2世がルネサンス期の「理想都市」の原則に従って再設計した。歴史的建造物や石畳、トスカーナを見晴らす丘の上の光景は観光客を魅了している。