熱帯雨林の樹木、暑すぎて光合成できなくなる可能性 国際研究
熱帯雨林はあと約4度までの地球温暖化には耐えられるが、それを超えると光合成能力が限界点に達すると研究チームは予想。この水準を超えて温暖化が進めば、光合成ができない温度に達する葉の割合は1.4%に増える可能性があり、そうなれば葉が大量に失われて木全体が枯死する状況もありうると指摘している。
現在の気候変動対策では気温が産業革命前より2.7度上昇すると予想され、これほどの温暖化は想定されていない。しかし、化石燃料を燃やし続けた場合の最も悲観的な筋書きでは起こり得ると予想される。
専門家からは、ほぼすべての生物が食料面で光合成に依存しているため、気候変動がそうした重要プロセスを危機にさらしていることを示す発見と評価の声が挙がる一方、逆の見方を示す人もいる。
オーストリアのグラーツ大学の気候学者クロエ・ブリミコム氏は、光合成が機能しなくなる温度にまで達する葉の少なさ、必要となる気温上昇の大きさを踏まえると、今回の発見は「理論的には森は気候変動にかなり強じんだということを示す」ものだと言及。「これはシンプルなモデルで、森の動態はもっと複雑だ」とも付言した。
論文の著者らは、不確実性はあっても、熱帯雨林が気候変動にどう反応するかの洞察が得られると研究の意義を強調する。著者の一人、米チャップマン大学の気候学者ジョシュア・フィッシャー氏は今回の発見を「我々が目にし始めている未知の危険を知らせてくれるようなもの」と語った。