地球環境、人類にとっての「安全な活動空間」から外れていく恐れ 科学者29人が警鐘
まだ安全な領域にある3つの項目でも、海洋の酸性化と空気中のエアロゾル量の2つは好ましくない方向へ進んでいる。
一方で良いニュースもある。リチャードソン氏によれば、オゾン層に関する項目は1990年代の時点で超えてはならない限界値を超えていたが、国際協力によりオゾン層を激減させる化学物質を段階的に廃止した結果、現在は層の回復に向けた道筋が完全に開けている。
それぞれの項目で限界値を超える状況になっても、それで世界が破滅的な転換点を迎えるわけではない。限界値超えが「崖から転げ落ちる」ことを意味するものではないと、リチャードソン氏も語っている。ただそれが警戒すべき兆候であるのは明らかだ。
リチャードソン氏によると、出費がかさめば銀行の預金残高が目減りするように、人類が地球の限界値を超える活動をすればその分地球本来の資源も失われていく。
「貯金がなくなりつつある中でもパーティーで盛り上がることは出来るが、そんな行動はいつまでも続けられない。我々は既にそのような状況に至っている」(リチャードソン氏)