地球環境、人類にとっての「安全な活動空間」から外れていく恐れ 科学者29人が警鐘
英ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)のサイモン・ルイス教授(世界変動科学)は、今回の報告について「既に警戒すべき構図に対し、際立って悲観的な更新」を施したとの認識を示した。同教授はこの研究に関与していない。
しかし、プラネタリー・バウンダリーを設定する研究モデルには批判的な意見もある。
英オックスフォード大学のレイモンド・ピエロンバート教授(物理学)はCNNの取材に答え、限界に対する明確な基準を設定できる炭素汚染のような項目であれば同モデルは有効だとしつつ、土地利用の変化といった他の項目では、どこに限界を設定するかや限界を「超えた」と判断する基準について議論するのは本筋から外れるかもしれないとの見方を示した。
その上で、モデルは「世界を単純化する大胆な試みだが、恐らく単純化のしすぎで実際の役には立たないだろう。我々が抱える多くの環境問題を現実的に処理するに当たっては、有用とは言えないのではないか」と述べた。
データやモニタリングに課題があることは、リチャードソン氏も認識している。「データの収集と照合をより包括的に行う必要がある。それによって人類が生態系に及ぼす影響を監視できる」(同氏)
プラネタリー・バウンダリーのモデルの更新は今回で3回目。前回は2015年に発表された。