中国の月探査機「嫦娥6号」打ち上げ、米国との宇宙競争過熱
嫦娥6号の着陸機が月の裏側からサンプルを回収すれば、月や太陽系そのものの成り立ちを調べる研究者の助けとなる可能性がある。中国の月探査の野心を前進させる重要なデータが得られる可能性もある。
宇宙強国化をめざす習近平(シーチンピン)国家主席の「永遠の夢」の実現に向け、嫦娥6号は中国の宇宙能力を占う試金石となりそうだ。
これまで米国とロシアが主導していた宇宙分野では近年、中国が急速な進歩を遂げている。
嫦娥計画の1号機が打ち上げられたのは07年。プログラムの名は中国神話に登場する月の女神にちなむ。中国は13年、ほぼ40年ぶりに無人機の月着陸を実現した国となり、22年には軌道周回宇宙ステーションの「天宮」も完成させた。
技術的に複雑な嫦娥6号は、19年に月の裏側に着陸した「嫦娥4号」と、20年に月の表側のサンプルを地球に持ち帰ることに成功した「嫦娥5号」をベースにしている。
嫦娥6号は周回機と着陸機、上昇機、再突入モジュールの4部分で構成される。ミッション計画では、着陸機が約40億年前に形成された直径約2500キロのクレーター「南極エイトケン盆地」に降り立った後、月の砂や岩を収集する予定だ。