世界の河川、35年間で衝撃の変化 科学者らが調査
シンシナティ大のフェン氏によれば、河川は「地球の血管のようなもの」であり、流れのパターンが変われば重大な影響が及ぶ。
川下での流量の著しい減少は、最も広大な箇所で使用できる水が減ることを意味する。これは地球上を流れる河川の多くに当てはまると、論文は指摘する。言い換えれば、人々の飲用や穀物、家畜に与えるための淡水が減るということだ。
水の流れが遅くなれば、泥や小さな岩からなる堆積(たいせき)物を動かす力も弱まる。これはさらに下流で堆積物が三角州を形成する上で重大な影響をもたらす。三角州は海面の上昇に対して天然の防護物の役割を果たす。
一方でごく小規模な河川については、その多くが地球温暖化に伴う氷雪の融解の影響を受け、川の流れは速くなっている。それによって種々の栄養物が魚類にもたらされるといった好ましい影響も起こりうる。
ただヒマラヤ山脈などの地域では、流速の上昇が「想定外の被害をもたらす」こともある。下流へ運ばれる堆積物が増加し、水力発電所の稼働を妨げるといった事態がそれだ。
川の流れが速まれば洪水の被害も悪化する。研究の結果、小さな下流の河川で発生する大規模洪水は、この35年以上で42%増加していることが分かった。
英レディング大学の水文学教授、ハンナ・クローク氏は、当該の研究について、ごく小さな河川まで含めて広範囲に焦点を当てているのが重要だと指摘する。同氏は今回の研究に関与していない。
クローク氏はCNNの取材に答え、最も甚大な洪水の一部は必ずしも大きな河川で発生するわけではないと指摘。逆に小さい河川や、普段は干上がった河川に突然水があふれ、人や車、建物を流し去るケースもあると示唆した。
研究の次なる段階は、こうした河川の水流の変化がこれほど急速に起きる正確な理由を突き止めることにある。同時にそうした変化への対処法にも取り組む必要がある。