アラスカのウミガラス、海洋熱波で約半数死滅 近代史で最大規模
研究によると、アラスカの海水温が上昇したことでウミガラスの食料は減少した。主な獲物の一つであるマダラは13年から17年の間に約80%減少したという。この重要な食料源の崩壊により、14年から16年の間にアラスカで約400万羽のウミガラスが死んだと推定されている。
14年に熱波が起きる前、アラスカのウミガラスの個体数は世界の海鳥種の個体数の25%を占めていた。
しかし、熱波前の7年間(08~14年)と熱波後(16~22年)を比較すると、先の13のコロニーのウミガラスの個体数は52~78%減少していることが判明した。
ウミガラスの個体数が回復しない理由を完全に解明するにはさらなる研究が必要だが、ドラモンド氏のチームはこの変化について、海洋生態系の変化、特に食料供給に関連する変化によって引き起こされていると考えている。
アラスカ大学フェアバンクス校の野生生物生態学准教授、ファルク・ヒュエットマン氏は、繁殖の問題や移住の難しさもウミガラスの回復がみられない一因になっている可能性があると指摘する。同氏はこの研究に関わっていない。
他の種と異なり、ウミガラスなどの海鳥は繁殖に時間がかかるため、再繁殖のプロセスは遅くなるという。
さらにヒュエットマン氏は、ウミガラスはコロニーに住みつくため、移住を余儀なくされ、新しい環境に適応することはさらに難しい可能性があると述べた。