人の知らない情報をボノボが伝達、類人猿と人の「チームワーク」初の実証 米研究
(CNN) 類人猿には人が知らないことを察知して伝え、人の行動を変えさせる能力がある――。そんな研究結果がこのほど学術誌に発表された。
米ジョンズ・ホプキンス大学研究チームの3日の発表によると、ボノボを対象とした実験で、自分が知っているおやつの隠し場所を人間のパートナーが知らないことが分かると、ボノボが隠し場所を指し示して人間に教える行動が観察された。
実験はオスのボノボ3頭で実施。研究者のルーク・タウンロウさんがこのうちの1頭とテーブルをはさんで座り、別の研究者が3個あるカップのうち1個の下におやつを置いた。
研究で行われた実験に参加したボノボ/Ape Initiative/Johns Hopkins University
どのカップの下におやつがあるのかをタウンロウさんが見ていた時は、ボノボはタウンロウさんがおやつを渡してくれるまで、じっと待っていた。
しかし、おやつの場所をタウンロウさんが見ていなかった時は、ボノボがおやつの隠されたカップを指し示して、タウンロウさんが見つけるのを手助けしたという。
「類人猿がチームワークの名の下に、未知の情報を伝達することを初めて実証した」と研究チームは解説。「ヒト以外の霊長類が、他者の無知を理解できることを明確に裏付けた」としている。
他者が何を知っているかを推察するこうした能力は「心の理論」と呼ばれる。心の理論は人間特有の能力と考えられていたが、今回の研究で、ボノボにもその能力があることが裏付けられたと研究チームは指摘する。
今後の研究ではボノボの情報共有の動機を解明するとともに、ボノボがパートナーの心の状態や考え方まで変えさせることができるかどうかを探りたいとしている。