まるで「ガラスの彫刻」、深海泳ぐダイオウホウズキイカの映像を初公開

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深海泳ぐダイオウホウズキイカ、撮影に初めて成功

(CNN) 科学者らがこのほど、自然環境の中で泳ぐダイオウホウズキイカの撮影に成功した。当該の海洋生物が特定、命名されたのは100年前だが、自然界での活動を確認した映像が撮られるのは始めて。米シュミット海洋研究所が明らかにした。

南大西洋のサウスサンドウィッチ諸島近くで撮影された映像には、水深600メートルを泳ぐダイオウホウズキイカの若い個体1匹が映っている。3月に行われたシュミット海洋研究所の探索中、調査船から遠隔操作した装置で撮影した。

ダイオウホウズキイカは成長すると体長7メートル、体重は地球上の無脊椎(せきつい)動物で最も重い500キロに達すると考えられているが、この若い個体の体長は約30センチだ。

当該のイカには、両側に突き出た目のような「幼生の特徴」は見られない。目は頭部の一部となり、頭部と胴体は互いに比較的均整が取れた状態になっている。独立系の研究者でダイオウホウズキイカが属するサメハダホウズキイカ科の専門家、アーロン・エバンス氏がそう指摘した。同氏はシュミット海洋研究所の探索に参加していないが、ニュージーランド・オークランド工科大学のカット・ボルスタッド准教授と共に、撮影された個体の種を独自に確認している。

エバンス氏は15日の記者会見で、「恐らくティーンエージャーのイカと考えられる」と説明。完全な成長までにはまだかなりの時間がかかるが、幼生というわけでもないため、謎の多いダイオウホウズキイカの一生の解明に向けた知見が得られると期待を寄せた。

研究チームは1月にも同じ調査船で南大西洋の南極付近を探索。それまで生きた姿を捉えたことがなかったナンキョクスカシイカの種を撮影している。

高解像度の映像により、科学者らはこれら2種のイカを特定、確認することが可能になった。新たな成果を通じ、こうした海洋生物の深海での暮らしにも光が当たろうとしている。

ダイオウホウズキイカの生態について分かっていることはほとんどない。従来の科学者らの知見は、クジラや海鳥などの胃から見つかる死骸もしくは死にかけの個体から得られたものだった。ボルスタッド氏が述べた。

同氏は記者会見で、映像のすばらしさに言及。このイカが持つ外見の繊細さを称賛し、まるで「ガラスの彫刻」のようだと語った。その上で、人間には自然から学ぶことがまだ非常に多く残されていることを改めて思い起こさせると言い添えた。

今回の探索は、シュミット海洋研究所と海洋生物探査プロジェクト「オーシャン・センサス」、「ゴーサウス」の提携を通じて実施された。オーシャン・センサスは日本財団と英国の海洋探査などを推進しているネクトン財団によるプロジェクト。ゴーサウスは英プリマス大学、独GEOMARヘルムホルツ海洋研究センター、英南極観測局が携わる合同プロジェクトとなっている。

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