迷子の犬を529日ぶりに捕獲、決め手は「においのついたシャツ」 豪
ブリスベン(CNN) 迷子になった犬が国際的な注目を集めることはほとんどないが、オーストラリアで行方不明になったミニチュアダックスフント「バレリー」の捜索をめぐっては、最新情報に世界中から関心が寄せられていた。オーストラリア南部に位置するカンガルー島で529日ぶりにバレリーが捕獲されると、インターネットは歓喜に沸いた。
非営利団体「カンガラ・ワイルド・レスキュー」は25日夜、フェイスブックへの投稿で、バレリーが安全に保護されたと報告。体調も良好だという。
同団体の責任者を務めるジャレッド・カランさんとリサ・カランさんによれば、バレリー捕獲の決め手となったのは飼い主のにおいが染みついたTシャツで、12時間にわたり飼い主が着用したシャツを使ってバレリーを囲いに誘い込んだという。
カランさんが囲いの中で、ぼろぼろのシャツを着て座って待っていると、バレリーが警戒を解いて近づいてきた。バレリーはカランさんのにおいをかぎ、最終的には落ち着いて、ひざにすり寄ってきたという。
バレリーは2023年11月、飼い主と一緒のキャンプ旅行中に行方が分からなくなった。見知らぬ人が助けようとしたものの、バレリーは草の中に逃げ込んでしまい、飼い主も最終的にはあきらめて、本土の自宅に戻った。
目撃情報がなかったため、バレリーはヘビか島に生息する爬虫(はちゅう)類とでも遭遇したのだろうと思われていた。その後、目撃情報が増え、バレリーが生きているかもしれないことが判明した。
カンガラ・ワイルド・レスキューのボランティアが中心となって大規模な捜索活動が行われた。同団体によれば、最後に目撃された地域で、監視やさまざまなわな、おびき寄せの手段などを通じて、バレリーを捕獲しようとした。
バレリー発見のために、赤外線追跡のドローン(無人機)やローストチキンの利用が提案された。
ただ、同団体によれば、バレリーの救助が難しく、餌をまいてわなを仕掛けるほど簡単ではない理由のひとつに、オポッサムやワラビー、カンガルー、野良猫など数多くの野生動物と競合しており、それらの生き物が餌を求めてやって来る点を挙げた。
約5000人が居住するカンガルー島は本土からフェリーで約45分の距離にある。観光客はオーストラリア固有の野生生物を見学するために島を訪れるが、外来種の管理には長年苦労している。島には茂みも多く、小型犬が隠れられるような場所も多い。
救助隊は餌箱を設置し、家から持ってきたおもちゃで囲いを作った。遠隔操作できる捕獲機も用意して、バレリーの登場を待った。
そして、25日、バレリーの冒険は幕を閉じた。
囲いの門が閉まると、バレリーは出口を探した。そして、不安そうになった後、最後を悟った迷子の犬なら誰でもするような行動を取った。カランさんによれば、バレリーは実際に家のある木箱を模した箱に入り、そこで眠りについた。バレリーは本土の飼い主のもとに送られることになっている。