国連パレスチナ難民支援機関への拠出金、半額を凍結 米
ワシントン(CNN) 米政府は16日、国連のパレスチナ難民救済機関に対する拠出金のうち、半分あまりの支払いを無期限で凍結すると発表した。
これに対してパレスチナは反発し、イスラエルは賞賛。国連関係者や難民支援団体からは、人道上の影響や、中東情勢の一層の不安定化を懸念する声が上がっている。
米国は、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)を通じて拠出予定だった1億2500万ドル(約138億円)のうち、6000万ドルのみを拠出し、残る6500万ドルは無期限で凍結する。UNRWAはパレスチナ自治区とヨルダン、シリア、レバノンにいるパレスチア難民に、人道援助などを提供している。
米国務省のナウアート報道官は今回の措置について、パレスチナがイスラエルとの交渉入りを拒んだり、国連でトランプ政権非難の決議案を採択させたりしたことに対する「懲らしめ」とは無関係だと強調した。
米非難の国連決議は、トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と宣言したことを受けて採択された。
その2週間後の今月上旬、トランプ大統領はツイッターで「われわれはパレスチナに年間何億ドルも支払っているのに、感謝も尊敬もされない」と不満をぶつけ、「パレスチナがこれ以上和平協議を行う気がないのなら、なぜ将来にわたり巨額を支払わなければならないのか」と述べていた。
国連のグテーレス事務総長は16日に行われた国連の記者会見で、中東情勢に対する影響を強く懸念していると語り、「UNRWAはパレスチナの機関ではなく、国連機関だ」と指摘。ヨルダンやレバノンは、シリア難民の流入でただでさえ極度の負担にさらされており、教育や医療などに対する支援が凍結されれば「とてつもなく重大な問題が生じる」として、「そうした状況に陥らないよう、全力を尽くす」と表明した。