ミス・ユニバースのタイ代表が辞退、政治発言で非難浴びる
(CNN) 今年のミス・ユニバース・タイ代表に選ばれたウェルリー・ディサヤブットさん(22)が、大会前の政治的な発言で非難を浴び、9日の記者会見で代表の座を辞退すると発表した。
女優や司会の仕事と学業を両立させるウェルリーさんは、5月17日の大会でタイ代表となった。その直後に、インターネットの交流サイト(SNS)「フェイスブック」で昨年、「赤シャツ隊」と呼ばれるタクシン元首相の支持者らを「汚い」「邪悪な活動家」などと批判していた発言が明るみに出てた。
これに対してタクシン派を中心に激しい非難が集中。ネット上のフォーラムではウェルリーさんが選ばれたことに反対する意見が相次ぎ、フェイスブック上に掲載された抗議文には数千件の支持が集まった。
ウェルリーさんは同19日、国内テレビ局とのインタビューで「不注意だった」と謝罪したが、非難の声は鎮まらなかった。
9日の会見では「家族は最初、私がタイ代表に選ばれたことを喜んでくれたが、社会から批判されてその喜びは消えてしまった」「母が苦しむ姿を見るのが耐えられなかった」として辞退を表明。自分ひとりで決めたことだと語り、大会の審査員やファンへの感謝を口にした。
タイ代表の座に次点の女性が繰り上がるかどうかは明らかでない。
同国では昨年11月、当時のインラック首相が亡命中の兄、タクシン元首相の帰国に道を開く恩赦法案を成立させようとしたことが発端となって、反政府デモが激化した。ウェルリーさんはこの時期にフェイスブック上で「私は中立ではない」とコメントし、タクシン派は「全員処刑するべきだ」などと書き込んでいた。
インラック首相は5月7日に権力乱用で有罪判決を受けて失職。同22日にプラユット陸軍司令官がクーデターを宣言した。軍事政権はその後、秩序回復と危機解決のためとして、夜間外出禁止令や集会の禁止、報道規制を打ち出すなどして厳戒態勢を敷いている。