ヨット・アメリカ杯 「穴掘り人」から夢の本戦出場へ、オラクル・チーム・USA
しかし、ドレスラー氏の勤勉さがジミー・スピットヒル氏の目に留まる。スピットヒル氏は2010年の第33回大会でオラクル・チームのスキッパー(艇長)を務め、見事チームを初優勝に導き、さらに3年後の第34回大会でもチームの指揮を執り、チーム・ニュージーランドを相手に1勝8敗から大逆転で優勝を勝ち取った人物だ。
スピットヒル氏はCNNのインタビューの中で、「われわれのプログラムの強みは、チームのショアクルー(サポートメンバー)だと考えている。前回の逆転劇を果たした時にそう感じた」と述べる。「彼らは誰よりも長く働き、誰よりも早く海に出て作業し、翌日のために深夜までボートの用意をしていた。彼らこそ、わがチームの陰の英雄だ」
「クーパーは、夢のような話だ。よく『どうすればアメリカ杯のチームやセーリングチームに参加できるのか』と聞かれるが、最も大切なのは取り組む姿勢や仕事に対する倫理観だ」
「ある日クーパーがやってきて、チームの手伝いがしたいと言った。とにかく仕事がしたいということで、最初はタダ働きだった。その後、彼はわれわれのショアチームのサポートに参加し、電線の敷設や溝掘りにも携わった」
「彼はどんな仕事をしている時も常に明るく、意欲的で、真摯に取り組んでいた。われわれは皆、そんな彼を見て『彼をチームに迎え入れよう』と考えた」
そして昨年、ドレスラー氏はセーリングクルーに昇格し、グラインダーのポジションが与えられた。グラインダーは肉体的負担の大きいポジションで、ウインチを操作して、セール(帆)を上げたりブーム(帆桁)を動かしたりする。