IOC、ロシアの平昌五輪参加を禁止 ドーピング問題で
(CNN) 国際オリンピック委員会(IOC)は5日、ロシアが来年の平昌冬季五輪に参加することを禁止すると発表した。組織的なドーピング問題が理由で、潔白を証明できるロシア選手については個人参加を認めるという。
IOCが参加国に科す制裁としては最も広範囲に及ぶ措置。ロシア五輪委員会はIOCの調査費と新たな検査機関の設立準備費として、1500万ドル(約17億円)の支払いを命じられた。前スポーツ相のムトコ副首相とその補佐役は五輪から永久に追放された。ムトコ氏は来年開催されるサッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会の組織委員会会長も務めている。
「潔白」な選手は厳しい審査を経たうえで、「ロシアからの五輪選手(OAR)」という肩書での参加が認められる。選手らはOARと書かれたユニフォームを着用し、メダル授与式ではロシア国歌に代わって「オリンピック賛歌」が演奏される。
IOCのバッハ会長はプーチン・ロシア大統領の友人だが、同国による組織的なドーピングを厳しく非難し、「IOCは潔白な選手を守りつつ相応の制裁を科した」と宣言。これまでにロシア選手のドーピングで勝利を逃した潔白な選手らが、再挑戦できる機会を設ける道も探ると表明した。
プーチン氏はこれまで、国旗や国歌を禁止された状態で五輪に参加するのは屈辱的だと述べてきた。ロシアはIOCの提案を拒否して平昌五輪をボイコットする可能性もある。ロシア国営タス通信によると、同国の国営放送は平昌五輪の放送を見送る見通しだ。
ロシアのドーピング問題については、世界反ドーピング機関(WADA)の独立調査委員会が昨年発表した報告書を受けて、IOCが2つの委員会を設置。このうちスイスのシュミット元大統領が率いる調査委員会は、14年ソチ冬季五輪でのドーピング隠ぺいにロシア政府が関与したかどうかを1年5カ月かけて調査した報告書を出し、バッハ氏らが5日にその内容を精査していた。