ハリウッドの灯が消える 新型コロナで撮影中止、数千人の雇用に打撃
ニューヨーク(CNN Business) 新型コロナウイルスの感染拡大は、米映画界の中心地「ハリウッド」にも影響を及ぼしている。
新型コロナウイルスの感染拡大で、多くの人々が動画配信サービスで作品を楽しんでいる。しかし、映画や娯楽産業の屋台骨である職人や技術者たちの生活は、映画スタジオが制作の中止を余儀なくされたことで、宙ぶらりんの状況に陥った。
米映画協会(MPAA)によれば、ハリウッドのあるカリフォルニア州だけでも映画や娯楽産業は72万2000人以上の雇用を支え、賃金は680億ドルにのぼる。
新型コロナウイルスの感染拡大はハリウッドにも影響を与えている。ロサンゼルス郡経済開発公社(LAEDC)の試算によれば、民間の時給労働者あるいは正社員全体の8人に1人が直接あるいは間接的に映画業界で働いている。撮影の許可を出している当局によれば、今年1~3月期の撮影は18%減少した。
2月にはロサンゼルス広域圏で1091のプロダクションが撮影を行っていたが、これが3月末には0となった。
映画製作の支援を行っている「ヒストリー・フォー・ハイア」のパム・アイリアさんは「ひとつの時代が終わったよう」と語る。同社はオスカー受賞作の「アーティスト」や「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の制作にも携わった。
「ヒストリー・フォー・ハイア」のパム・アイリアさん(左)/History for Hire
同社は外出制限などの指示に従って3月16日に営業を停止。先週には従業員を全員解雇した。アイリアさんは「打ちのめされた。スタッフの一部は20年以上、失業手当の申請もしたことがなかったのに」と肩を落とした。
アイリアさんは、撮影が再開されれば、スタッフを再雇用できるのではと考えている。それまでは、撮影用の品々のリストをオンライン上に掲載し、物理的な接触がなくてもクライアントが内容を確認できるようにしている。アイリアさんは「きょうが最後の日のように生きるけれども、ビジネスが永遠に続くように計画する」と語った。