金メダリストは数学者、キーゼンホファー選手が五輪史上最大級の番狂わせ
終わってみれば、重い期待を背負わずレースに臨んだことが奏功して、キーゼンホファー選手は終始冷静さを保ち、4時間を切るタイムでフィニッシュ。銀メダルを獲得したファンフリューテン選手に75秒の差をつけた。
金メダルを獲得したことに気付くと、キーゼンホファー選手は両腕を宙に突き上げ、その後よろめきながらチームの元に向かった。信じられない様子で喜びの涙を流していた。
「現実とは思えなかった。こんな結果になると言っても誰も信じなかっただろうから。ただただ信じられなかった。ゴールラインを越えてもまだ信じられない思いだった」
家族の支援
終盤で独走状態になってからは、愛する家族の思い出がモチベーションになった。家族はオーストリアでレースの生配信を見守り、キーゼンホファー選手と一緒にレースのあらゆる瞬間を体験した。
「家族が見ていることは分かっていたから、彼らのことを思い浮かべた。家族や過去のコーチ、私のモチベーションになってくれた友人のことを考えていた」
家族は「自転車にはあまり熱心ではない」ものの、とにかく自分に幸せになってほしいと考えていると、キーゼンホファー選手は語る。たとえそれが、前評判を覆して五輪王者になるために闘うことを意味するとしてもだ。