砂漠を徒歩で横断、故国から出場できず――8千万人を代表する難民選手団の思い
「難民が故国を離れる理由はたくさんある。そうした人たちを代表できることを誇りに思う。どんなことでも可能なんだと知ってもらいたい。彼らも目標を達成できる。どんなことでもいつかはかなう」(モハメド選手)
難民選手団は11カ国の出身選手で構成され、それぞれが13のホスト国に居住して練習を行っている。
新型コロナウイルスが世界的に流行する中で実施された今大会。難民選手団の参加はこれまでにも増して大きな意味があると、フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は強調する。
「私たちみんなが苦難や愛する人との離別を共有している。私たちみんながある種の集団亡命を切り抜けて生きてきた」「難民は多大な貢献をもたらし、国家建設を助け、経済を一層繁栄させ、社会に多様性をもたらす」(グランデ氏)
難民選手団はまだメダルは獲得していない。過去の大会でイラン代表だったテコンドー女子のキミア・アリザデ選手は最初の3戦で勝利して初のメダルに迫ったが、3位決定戦を含む次の2戦で敗れた。
「世界には8240万人の難民や避難民がいる。これは彼らのためのチームでもある」とアリザデ選手は言う。
たとえメダルは獲得できなくても、オリンピックに出場する難民選手の存在、そしてここに至るまでの行程は人を勇気づける。
モハメド選手の目標は、5000メートルで13分30秒のタイムを出し、決勝に進出すること。「(ここにいることは)夢がかなったようなもの」「ただその日を心待ちにして、全力を尽くす。本当に素晴らしい気分」と心境を語った。