「火の玉ロック」のジェリー・リー・ルイスさん死去、87歳 ロックンロールの先駆者
それでもセールスの伸び悩んだ10年間をしのぐと、60年代後半にはカントリー歌手として復活。70年代にかけ、数多くのヒット曲でトップ10入りを果たした。
89年にはデニス・クエイドがルイスさんを演じた伝記映画「グレート・ボールズ・オブ・ファイヤー」が公開され、ルイスさんの人生と音楽に改めて注目が集まった。映画のサウンドトラックには、本人自ら録音したかつてのヒット曲の新バージョンが使用された。
しかし私生活には依然として問題が付いて回った。7度の結婚や破産申請のほか、アルコール・薬物依存との戦いも数年にわたり続いた。
今年10月にはカントリー歌手の殿堂入りを果たしたが、自身のソーシャルメディアに投稿した声明によると、体調不良のため本人がセレモニーに出席することはできなかった。
ルイスさんが残した不朽の遺産と言えば、あの型破りなピアノ奏法だろう。そのスタイルはエルトン・ジョンをはじめとする多くのミュージシャンに影響を与えた。コンサートの間、ルイスさんは鍵盤を拳や肘(ひじ)でたたき、ピアノスツールを蹴り飛ばし、ピアノによじ登ったりした。ピアノに火をつけたことさえあるとされる。
こうしたやり方で、ルイスさんはギターだけがロックンロールではないことを体現してみせた。