CNNのグリフィン記者、がん闘病の末に死去 調査報道で受賞多数
(CNN) CNNのベテラン調査報道記者、ドルー・グリフィン氏が17日、長年に及ぶがん闘病の末に死去した。60歳だった。
CNNのクリス・リクト最高経営責任者(CEO)はスタッフへのメッセージで、「CNNとすべての報道人にとって大きな損失だ」「名高い調査報道記者としての業績は非常に強い影響力を持ち、あらゆる面で当社の使命を体現していた」と、グリフィン氏の死を悼んだ。
同氏は20年近くの間、CNNの調査報道チームで何百本ものニュースを担当し、多数のドキュメンタリー番組を手掛けた。エミー賞やピーボディ賞を含め、ジャーナリズム界を代表する多くの賞を受賞した。
リクト氏は一方で、グリフィン氏にとっては賞よりも人が重要だったと振り返った。
高い倫理観を持って仕事に取り組み、病のことは同僚にほとんど明かさず、亡くなる当日まで報道に従事していたという。
グリフィン氏の調査報道が変革につながった例も多い。例えば、退役軍人省が運営する病院で長期にわたる診療待ちの間に死亡する患者が相次いだ問題を追及。これをきっかけに当時の退役軍事長官は辞任し、連邦議会で抜本的な制度改革を図る法案が可決された。
配車サービス大手ウーバーの運転手による性的暴行の被害を取材したこともある。同社はこれを受けて対策を強化した。
口の重い重要人物とのインタビューを成功させた例も多い。トランプ前大統領が開いた不動産セミナー「トランプ大学」の詐欺疑惑をめぐって元講師から話を聞き出し、昨年1月の連邦議会議事堂襲撃事件では誤情報を拡散した実業家のマイク・リンデル氏を直撃した。同事件に関するグリフィン氏の報道は、司法省や下院特別委員会にも引用された。
災害や事故の現場にも進んで飛び込み、ハリケーンで水没するピックアップトラックから運転手を救出したこともある。
インタビューで対決した後には相手に手書きの礼状を送り、世界を駆けまわる取材の合間に家族との時間を確保するため帰宅するという隠れた一面もあった。時間を割いて若い記者の相談に乗り、チームを深く気遣うリーダーでもあった。