米歌手ハリー・ベラフォンテさん死去 社会活動に貢献、反権力の姿勢貫く
(CNN) 歌手や俳優として活躍し、社会活動家として公民権運動などを支援したハリー・ベラフォンテさんが25日、鬱血(うっけつ)性心不全のため死去した。96歳だった。広報担当者が明らかにした。
ベラフォンテさんは1956年に「バナナ・ボート(デーオ)」をヒットさせ、「カリプソの王」と呼ばれるようになった。ブロードウェイのミュージカルを映画化した「カルメン」に出演して映画スターにもなった。
しかし最も大きく貢献したのはステージ外の活動だった。ベラフォンテさんは公民権運動の中心となって戦略の立案や資金調達、橋渡し役を担った。そうした活動のためにエンターテインメント界のキャリアは常にリスクにさらされ、命を失いそうになったこともある。
親交のあった公民権運動の指導者マーティン・ルーサー・キング牧師は、ニューヨークにあるベラフォンテさんの豪邸に滞在し、戦略について語り合ったり、重圧から逃れたりしていた。
マーティン・ルーサー・キング牧師(中央)と並ぶベラフォンテさん(左隣)=1965年3月24日、米アラバマ州/AP
不正を強く憎んだベラフォンテさんの政治意識は、家政婦として働いた貧しいジャマイカ系の母をもつ息子として育った経験から形成された。
南アフリカでは反アパルトヘイト(人種隔離)運動を率いてネルソン・マンデラ氏と親交を結び、HIV・エイズ対策運動を支援してユニセフの親善大使になった。アフリカの飢餓撲滅を訴えた85年のヒット曲「ウィー・アー・ザ・ワールド」のアイデアを思いついたのもベラフォンテさんだった。この曲にはボブ・ディランさん、マイケル・ジャクソンさん、ブルース・スプリングスティーンさんなどのスターが結集した。