陸上100メートルで21秒81、ソマリアのスポーツ当局者が縁故主義で停職に
(CNN) 大学スポーツの世界大会で、初心者とみられる陸上選手がスキップをしながら最下位でゴールラインをまたぐ様子が撮影され、批判が集まっている。ソマリア当局は2日、選考で縁故主義があったとして、スポーツ当局者1人を停職処分にした。
2日に拡散した動画には、ナストロ・アブカル・アリ選手が中国で開催中の「国際大学スポーツ連盟(FISU)夏季ワールドユニバーシティーゲームズ」で女子100メートル予選3組に出場する姿が映っている。
他の選手が勢いよく飛び出す中、アリ選手はスタートで出遅れ、みるみる集団から引き離されていく。ジョギングでゴールラインに向かうと、最後は小さくスキップしながら完走した。
タイムは21秒81。最後から2番目の選手から8秒あまり離され、1位の選手とは10秒を超える差が付いた。
この様子を捉えた動画はすぐさまSNS上で話題となり、嘲笑や信じられないといった反応、一部からは憤りの声も上がった。
ユーザーの一人はツイッター(現X)で「無能な政府を目のあたりにして失望している。どうやったら、何の訓練も積んでいない少女を陸上ソマリア代表に選べるのか?」「本当にショック。私たちの国に国際的に悪い影響が出る」とコメント。この投稿には4700万以上の「いいね」が集まった。
ソマリア青年スポーツ省は2日、ソマリア陸上競技連盟のカディジョ・アデン・ダヒル会長を停職処分にした。同省はソマリア五輪委員会に宛てた書簡で、ダヒル氏の「権力乱用や縁故主義、国際舞台でソマリアの名を傷つける行為」を指摘している。
青年スポーツ相はアリ選手について、「スポーツ選手でも陸上選手でもない」と発言。米経済誌フォーブスによれば、スポーツ相はこの発言の前にフェイスブックで「謝罪」し、ソマリア語で「今日起きたことはソマリア国民を代表するものではない」と語ったという。
書簡では縁故主義に言及しているものの、ダヒル会長とアリ選手の直接のつながりについては指摘されていない。
今年の夏季ワールドユニバーシティーゲームズは中国南西部・成都市で開催されている。