競泳の元米国代表、ロス山火事で五輪メダル10個失う
(CNN) 競泳の米国代表として活躍したゲーリー・ホール・ジュニア氏は、そのキャリアの中で五輪のメダル10個、世界選手権のメダル6個を獲得した。しかし今、ロサンゼルス近郊の高級住宅地パシフィック・パリセーズを襲った山火事のために、それらのメダルを全て失ったと考えている。豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドの取材で明らかにした。
「これまで見たどんな災害映画より悪い。1000倍ひどい」とホール氏。
「電話で娘と話していたら、家の裏手から煙が流れてくるのに気付いた。炎が燃え上がり、家々が壊れ始めるのが見えた。爆発が起きたんだ。もう時間がなかった」
「ロサンゼルスは大混乱だ。我々は炎に囲まれていた。燃え残りが頭上から降ってくる中、車に飛び乗った。飼い犬と、いくつかの私物だけは持ち出す時間があった。他人を気にする余裕はなかった」
その上でホール氏は「厳しい。大きな損失だ。全てを失った」と語った。
選手時代にスピード豊かな泳ぎと観客を引きつける魅力で知られたホール氏は、米国の代表として1996年、2000年、04年の五輪に出場。金5個を含む10個のメダルを獲得した。また世界選手権でも金と銀それぞれ3個ずつのメダルを手にしている。
自身のために立ち上げられた募金サイト「ゴー・ファンド・ミー」のページによれば、ホール氏が家から持ち出せた物は糖尿病の治療薬のインスリン、祖父の絵、娘からもらった宗教的意味合いを持つ木のオブジェだけだった。
50歳のホール氏はシドニー・モーニング・ヘラルドの取材に対し、メダルのことは考えたが、取りに行く時間はなかったと振り返った。
何もかも燃えてしまったと話す一方で、それらがなくても生きていけると強調。全ては物に過ぎないとも語った。
山火事が収まり、自宅のあった場所へ戻った時には、灰をかき分けてメダルを探すだろうとホール氏。10個のメダルが溶けて一つになっているかどうか確かめるつもりだと明かした。