中国アニメ映画「ナタ2」大ヒット、国内興行記録を塗り替え 欧米市場へ進出
香港(CNN) 中国の神話をモチーフに、運命に逆らう少年の姿を描いたアニメ映画「ナタ2」が、単一市場において世界最高興行収入記録を達成した。1月29日の公開以来、中国で14億ドル(約2100億円)という驚異的な売り上げを記録している。
これは2015年に米国とカナダで9億3600万ドルを売り上げた映画「スターウォーズ/フォースの覚醒」の記録をはるかに上回る。またナタ2は、ハリウッド映画以外で世界興行収入トップ20にランクインした作品でもある。
これまで中国の映画市場はハリウッドの大作に支配されてきたが、文化的な誇りの高まりや、より洗練されたストーリーテリング、急速な技術進歩などにより、近年ではジャンルを問わず国産映画が洋画を凌駕(りょうが)している。
検閲の強化や米中の地政学的な緊張が高まるにつれ、ハリウッド映画が巨大市場だった中国で政治的な地雷を回避するのはますます難しくなっている。
中国の映画産業はこのチャンスに飛びついた。民間伝承に根ざし、最先端の特殊効果で強化されたアニメーションは、勝利の方程式であることが証明された。
新世代の映画制作者や観客にとって、その理由は明らかだ。中国人が持つ才能によって、自国の伝説をハイクオリティーな映画として実現できるなら、なぜ欧米の制作会社に頼る必要があるのだろうか?
中国で大ヒットを飛ばした「ナタ2」は海外に進出し、今月13日にオーストラリアとニュージーランドで、14日に北米で公開された。中国系移民の間で瞬く間にヒットし、大勢の人が前売り券を買い求め、プレミア上映のために並んだ。
成功の秘訣
19年に公開された「ナタ 魔童降臨」の続編であるナタ2は、春節(旧正月)連休に合わせて封切られた。
16世紀の伝説をモチーフにした作品には、中国のあらゆる世代に親しまれているキャラクターが登場する。だが、若年層に響く新鮮な表現もあると、英ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)の中国映画専門家、シャオニン・ルー氏は述べた。
「商業映画としては非常に成功している。高度なアニメーション技術があり、ストーリーテリングにも優れている。家族向けで、反抗精神があり見ていて楽しい」(ルー氏)
魔王となる宿命と並外れた力を持って生まれた主人公のナタは、いたずら好きで、天の権威に挑戦し、神々に立ち向かうことを恐れない。