消滅寸前の先住民言語を救え、豪州でスマホ向けアプリ登場
(CNN) 消滅の危機にある先住民の言葉を救おうと、オーストラリアでスマートフォン向けのアプリが開発されている。先住民の人たちが自分で情報を更新できるのが特徴だ。
無料アプリ「Ma! Iwaidja」は、同国北部ノーザンテリトリーのクローカー島に住む先住民アボリジニーの言語、イワイジャ語を収録した初の辞書アプリ。1500の単語と450の熟語を英語で説明し、ユーザーが内容を修正できる。イワイジャ語は話せる人が200人を切り、絶滅寸前の状態にあるという。
クローカー島の学校には同アプリをインストールした8台のiPadを配布し、住民が集まる店ではスマートフォンを販売。次の段階として、ユーザーがウェブサイトを通じて入力した情報を共有できるデータベースの構築や、音声で情報を録音できる新しいイワイジャ語の辞書アプリの開発を予定している。
同プロジェクトに携わる言語学者のブルース・バーチ氏によると、アプリの使い方は非常に簡単で、気が向いたときに携帯電話から情報を投稿や修正できるという。
アボリジニーの言語はこれまで、その言葉を母語とする人に話してもらった内容を言語学者が録音する方法が一般的だった。しかし使いやすいアプリを提供すれば、専用の録音機材も不要になり、コンピューターに精通していない人でも自分たちの言語を絶滅の危機から救う手助けができるとバーチ氏は話す。
消滅の恐れがあるアボリジニーの言語は100あまりもあるとされ、バーチ氏はイワイジャ語のほかにもこうした言語を収録したアプリの開発を進めている。来年初めをめどに、新たに2言語のアプリが登場予定だという。