米当局、被害多発のコンピューターウイルス2種を摘発
ワシントン(CNNMoney) 米司法当局は2日、コンピューターウイルスを操って世界各国で多額を詐取していた組織を摘発したと発表した。
発表によると、ウイルスに感染させたコンピューターでつくるネットワークの「ゲームオーバー・ゼウス」は、中小企業や事業所を主な標的として、銀行口座から現金を不正送金させる犯行に使われていた。
一方、「クリプトロッカー」と呼ばれるウイルスでは、被害者のコンピューター上にあるファイルを暗号化して読めない状態にし、取り戻したければ身代金を払えと要求していた。
この事件に関連して米当局は、30歳の男がロシアとウクライナを拠点とする組織を率いてゲームオーバー・ゼウスを操っていたと断定。この男の逮捕と米国への移送に向け、ロシアの当局と交渉を進めている。ただ、交渉の行方がどうなるかどうかは不明。
米連邦捜査局(FBI)によれば、ゲームオーバー・ゼウスによる被害額は米国だけでも1億ドル(約102億円)を超す。感染したコンピューターは2011年以来、世界で100万台に上っているという。
一方、クリプトロッカーは2013年に出現し、世界で約20万台のコンピューターに感染したとされる。被害者が脅されて払った身代金は総額2700万ドル(約28億円)と推定される。
被害者の中にはマサチューセッツ州スウォンジの警察も含まれていて、システムがクリプトロッカーに感染してファイルが開けなくなったため、犯罪集団に身代金を払っていたという。
ゲームオーバー・ゼウスの摘発は、ウクライナの当局が5月7日、首都キエフと東部ドネツクで犯行に使われていたサーバーを押収したことがきっかけとなった。