アップルが無料配信のU2アルバム、苦情続出で削除に対応
(CNN) 世界の誰もがアイルランドの人気バンド「U2」を好きなわけではなく、特に嫌いでなくても勝手にライブラリに入れられるのは好まない人もいる――。米アップルはそんな教訓を学ぶ羽目になった。
アップルが音楽配信サービス「iTunes」のユーザーを対象にU2の新アルバムを無料提供し始めてから1週間。同社はこのほど、クラウドサービスの「iCloud」アカウントから同アルバムを削除する方法を紹介し、「アルバム削除」のボタンも追加した。
アルバムの無料配信は、新しいiPhoneの発表会の場で、U2と組んだ宣伝キャンペーンの一環として発表。世界119カ国でiCloudを利用するユーザー5億人に、U2の5年ぶりの新アルバム「Songs of Innocence」が無料配信された。
ただ、アップルはユーザーが自分で同アルバムをダウンロードできる選択肢を与える代わりに、ユーザーに断りなく配信する方法を取った。このためiTunesで買った楽曲を自動的にダウンロードする設定にしていたユーザーは、コンピューターやモバイル端末にいつの間にか同アルバムが加わっていた。
こうした配信方法に不快感を持ったユーザーから苦情が続出した。有名人の写真が流出してiCloudのセキュリティ対策に厳しい目が向けられていたタイミングの悪さも重なった。
アップルはU2キャンペーンの宣伝のための広告まで制作しており、米紙ニューヨーク・タイムズによれば、同キャンペーンのために1億ドル(約107億円)を費やしていたという。