凶悪犯をブラウザーから「消去」、米団体が新たな拡張機能公開
ニューヨーク(CNNMoney) 銃規制を求める米団体「銃による暴力を防ぐブレディ運動」は27日、グーグルの閲覧ソフト(ブラウザー)「クローム」用の拡張機能(新たな機能を加えるためのプログラム)を公開した。大手ウェブサイトを閲覧する際に、銃の乱射事件の容疑者の名前を文字通り「消す」というもので、凶悪犯を過剰に報道しがちなメディアの姿勢に一石を投じる意図がある。
「ゼロ・ミニッツ・オブ・フェーム(有名になる時間は与えない)」と名付けられた新たな拡張機能の説明文には、「この機能を使うことで殺人者の名前と写真を画面から消し去ることができる。代わって画面に出るのは、私たちが真に関心を寄せるべき対象、つまり被害者だ」と書かれている。
ブレディ運動のダン・グロス会長は声明で、報道機関は「極悪非道な人物の記憶を人々の心に刻み込むのを控える責任がある。テレビや新聞、インターネットは容疑者の名前や顔を派手に伝える記事であふれかえっている」と指摘する。
過剰な報道により犯罪者が有名人になってしまうことに対する批判の声は、銃犯罪の被害者の遺族たちからも出ている。
2012年にコロラド州オーロラの映画館で発生した銃乱射事件で息子を失ったカレン・ティーブズさんと夫のトムさんは、昨年1月から、他の銃犯罪の被害者遺族とともに、報道機関に対して大量殺人の容疑者の名前や写真を報じないよう求める運動を続けている。ウェブサイトによれば、目的は「(模倣犯による)将来の悲劇を減らすため」だ。
ブレディ運動やティーブズさん夫妻の取り組みは銃犯罪報道の規範を問題視したものだが、こうした運動に対する異論は少なくない。事件を詳細に伝えることこそジャーナリズムの義務だとする考えがあるためだ。
ただ最近の銃乱射事件では、報道手法に変化も生じている。昨年10月にオレゴン州の大学で発生した銃乱射事件では、メディアの側で犯人の顔写真などを広く伝えることを控える動きがあった。こうした流れを受け、遺族たちは自分たちの声が届きつつある手応えを感じているという。