アマゾンCEOに対するハッキング、サウジ皇太子が関与か 国連特別報告者が声明
(CNN) 国連の特別報告者は22日、サウジアラビアの事実上の指導者ムハンマド皇太子が使っているメッセージングアプリ「ワッツアップ」のアカウントが、米アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)のスマートフォンにスパイソフトを届ける目的で使われていたという情報を入手したと述べ、「重大な懸念」を表明した。
ムハンマド皇太子をめぐっては、ベゾス氏のスマートフォンに対するハッキングを命じたとされる疑惑が浮上していた。
ホワイトハウスはこれまでのところ、この疑惑に関して沈黙を保っている。
在米サウジ大使館はウェブサイトに掲載した声明の中で、「王国がジェフ・ベゾス氏の携帯電話ハッキングに関与したとする報道は馬鹿げている」と反論した。
ホワイトハウスはこの問題に関するコメントを避けており、トランプ大統領は過去にもサウジ政府を擁護する姿勢を見せてきた。その背景には、イランとの緊張が高まる中で、サウジアラビアを中東地域で最高の同盟国と位置付けるトランプ大統領の計算がはたらいている。
米紙ワシントン・ポストのジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏が殺害された事件に関しても、トランプ大統領はサウジ政府の責任追及に対して消極的な姿勢を見せていた。
ベゾス氏は22日、カショギ氏の追悼式に参列した自身の写真をツイッターに投稿した。ワッツアップに対するハッキング疑惑が明るみに出て以来、公の場での発言は初めてだった。
国連人権理事会でカショギ氏殺害事件の調査を担当するアグネス・カラマール特別報告者と、表現の自由を担当するデービッド・ケイ特別報告者は、ベゾス氏のスマートフォンに対するハッキングについて、ワシントン・ポストの報道に影響を与えようとする狙いがあったことをうかがわせると指摘し、この疑惑に対する調査を求めた。ベゾス氏はワシントン・ポスト紙のオーナーで、カショギ氏は同紙に寄稿していた。
両特別報告者は22日の声明の中で、「我々が入手した情報は、(ムハンマド)皇太子がサウジアラビアに関するワシントン・ポストの報道について、黙らせるとは言わないまでも、影響を与える目的で、ベゾス氏の監視に関与していた可能性をうかがわせる」と指摘した。
今回の発表に先立ち、CNN Businessを含む報道各社は、ベゾス氏が専門家を雇って調べさせた結果、ベゾス氏のスマートフォンが、ムハンマド皇太子のアカウント経由でハッキングされていたことが分かったと伝えていた。