ネットに流れたゼレンスキー大統領の自殺説、ロシア側が情報作戦に重点
ワシントン(CNN) 米サイバーセキュリティー企業のマンディアントは19日、ロシア軍がウクライナに侵攻した数週間後、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領が自殺したという偽情報をロシア側の工作員が流していたと伝えた。国民の士気を低下させ、ウクライナ政府を弱体化させることを狙った情報作戦の一環と位置付けている。
マンディアントによると、ほかにもウクライナやロシア、欧州などのユーザーをあざむく目的で、ロシアとベラルーシの関与が疑われる情報作戦が展開され、ウクライナの戦争に関する真実を混乱させている。
別のケースでは、ポーランドの犯罪組織がウクライナ難民の臓器を狩り集めており、ポーランド当局者も加担しているという偽情報を、ベラルーシの関与が疑われる工作員が流していた。
マンディアントの専門家は「ロシア側の情報作戦が、規模と頻度の両方において氾濫(はんらん)していることは、ロシアが情報環境の形成を重視していることを物語る」とCNNに解説した。
ゼレンスキー大統領の自殺説に関してマンディアントはロシア政府を直接名指しはしていないものの、影響を及ぼすことを狙ったロシアの作戦だった疑いがあると分析している。
フェイスブックやユーチューブでは今年3月、ゼレンスキー大統領がウクライナ軍に武器を置くよう指示していると見せかけた捏造(ねつぞう)動画が出回った。問題の動画は削除され、直後に本物のゼレンスキー大統領が現れて、ウクライナ防衛は続いていると訴えた。
ただ、マンディアントが調べた偽情報の少なくとも一部は、ネット上でほとんど注目されなかった。
例えば、ゼレンスキー大統領が3月にキーウ市内の塹壕(ざんごう)で自殺したというロシア側が流したらしい偽情報は、「非常に限られた数」のウェブサイトやブログに掲載されるにとどまった。