日本が誇る世界遺産、熊野古道 自然と文化の宝庫を歩く
滝尻王子のインフォメーションセンターには無料の竹杖が用意されている。さい銭用の5円玉と杖を手に、初日はここから約16キロ離れた「近露(ちかつゆ)王子」まで、約6時間かけて歩く。
2日目はそこから熊野本宮大社まで、約26キロの距離を進む。さらに熊野川を舟で下ると、新宮の熊野速玉大社、神倉神社に着く。神倉神社へ上る538段の石段の傾斜はとても急なので、覚悟が必要だ。
熊野三山の残る一社、熊野那智大社へ向かう参道の入り口にある「大門坂茶屋」では、平安衣装のレンタルが利用できる。
初心者向けの手軽なハイキングには、「発心門(ほっしんもん)王子」からスタートして森林や農村を抜け、熊野本宮大社まで歩く約2時間のコースがお薦めだ。途中の「伏拝(ふしおがみ)王子」には、地元の女性ボランティアグループが運営する休憩所がある。本宮大社への案内役も務めるというボランティアの女性は、「大阪で働いていた若いころは地元の方言が恥ずかしかったが、故郷が世界遺産に登録され、誇りを持って紹介できるようになった」と話した。