日本・ブラジル文化の懸け橋 サンパウロの日系移民
「自分が日本人とは思えなかった」 リディア・ヤマシタさん
リディア・ヤマシタさん(63)は建築家で、サンパウロにある日本移民史料館の副館長を務める。ヤマシタさんはブラジル生まれだが、日本語しか話さない家庭で育った。
ヤマシタさんは、母親がポルトガル語を全く話さず、また家庭では極めて日本的な生活をしていたため、自分は完全な日本人だと思っていた。しかし東京都立大学に留学した際、自分の考え方は欧米流で、自分が日本人のルームメートたちと全く違うことに気付き、自分は日本人ではないと悟ったという。
「2つの文化の融合体」 ポーラ・キヨハラさん
日系ブラジル人3世で、ファッションを学ぶ学生のポーラ・キヨハラさん(27)は、自らを日本・ブラジル両文化の「融合体」と考えている。キヨハラさんは、気楽な性格はブラジル人で、先祖への敬意など、価値観や姿勢は日本人だという。
日本とブラジルの文化面での大きな違いの1つは、日本人は人の邪魔になることを嫌う点だとキヨハラさんは語る。例えば、キヨハラさんが自分の部屋で騒がしい音楽をかけていると、母親から隣人に迷惑なので音量を下げるように注意されるが、ブラジル人は隣人も音楽を楽しめるようにさらに音量を上げるのだという。
キヨハラさんは、日本の伝統や文化を大変誇りに思っているが、ブラジル人でいることが好きなので、ブラジルに来てくれた祖父母に感謝していると話す。