絶滅危機のウミガメ保護へ、モルディブの高級リゾートで進む取り組み
モルディブ・バア環礁(CNN) 汚染されたわれわれの海を守ろうという声が全世界で高まる中、インド洋の島国モルディブで保護された幼いウミガメ「イービー」は、前途に待ち受けるさまざまな課題の究極のシンボルとみなされるかもしれない。
幼い雌のヒメウミガメ「イービー」には、フリッパー(ひれ足)が2本半しかない。
イービーは2017年に、漁師が不用意に切って海に捨てた「ゴーストネット」と呼ばれる釣り糸に絡まった状態で発見され、モルディブの5つ星高級リゾート、フォー・シーズンズ・ランダー・ギラーヴァルが所有する、バア環礁にあるウミガメ専用のリハビリ施設に急送された。そこで獣医らが損傷した甲羅やひれ足の治療を行ったが、ひれ足は切断せざるを得なかった。
回復までに3カ月を要したが、その間イービーは泳ぎや潜り方を思い出し、泳ぐ速度や進行方向も制御できるようになった(ウミガメは食事や捕食者から逃れるために海に潜る必要がある)。
そして、ある晴れた朝、同リゾートの宿泊客らは生物学者のグループに同行するよう促され、この先何年も記憶に残るであろう光景を目の当たりにする。
イービーは生物学者らによって海に放された。リゾートの宿泊客らが近くの桟橋から見守る中、イービーは波と闘いながら必死に泳いだ。2人の海洋生物学者がイービーの隣で泳ぎながら、海に潜るよう促した。
およそ30分が経過したが、イービーが自力で海に潜れなかったため、海洋センター内のイービー専用プールに戻された。
その3日後、生物学者のチームは再びイービーを海に放した。
今度は、イービーは自分なりの潜り方を発見し、そのまま自分の足ひれで水をかきながら泳いでいった。イービーの甲羅に取り付けた衛星追跡タグによると、イービーは1日で15キロも泳いだ。