今年オープンの「未来博物館」、見どころは ドバイ
(CNN) アラブ首長国連邦(UAE)ドバイにユニークな「未来博物館」がオープンしてから、早くも4カ月以上が過ぎた。
ドバイの幹線道路沿いに銀色の輝きを放つ、高さ77メートルのステンレスの建物。完成からさかのぼって6年も前から、市民や旅行者は工事の過程を興味深く眺めていた。
幾何学的な骨組みに、装飾文字を一面に配した金属パネルが張り付けられた。命綱をつけた作業員らが曲面上を行き交う姿に、通行人らが携帯電話のカメラを向けた。
オープン当時、ドバイのムハンマド首長は「世界で最も美しい建物」と宣言。建築の専門誌「アーキテクチュラルダイジェスト」も、完成と同時にインスタグラムにもよく映える象徴的存在になったと評した。
博物館というのは大抵、過去や現在の物が展示されているが、ここは未来がテーマだ。設計を手掛けた地元の建築事務所、キラ・デザインのショーン・キラ氏によると、各フロアに医療や交通、航空、スマートシティー、政府のサービス、宇宙旅行など、あらゆる分野の未来が描かれている。
博物館が立っている緑の丘は地球、本館の建物が人間を表す。中心近くの空洞は、未知なるものを示しているという。
キラ氏は「未知なるものを探し求める人々が発見、発明をして、博物館に息を吹き込み続ける」と強調する。
来館者はさまざまな双方向の体験を通し、近未来の世界に誘い込まれる。ロビーでは未来的な音の繰り返しに乗って、ペンギンをかたどったドローンが空中を泳ぐ。宇宙船を模したエレベーターに乗り込むと、4分後には50年後の未来、地上600キロの宇宙ステーション「ホープ」に到着だ。
未来のテクノロジーのエリアではSFドラマさながら、サイバー犬や皮下に埋め込む決済チップ、抗ウイルス服などを体験することができる。4500種類の動物のDNAのデータから、どれかを選んでスマート端末で持ち帰れるコーナーもある。
建物の外観は「未来的で方向性のある」形にしたかったと、キラ氏は振り返る。きれいな楕円(だえん)形をあえてゆがめ、空洞を真ん中からずらすことによって、未来の絶え間ない動きを感じさせるようにした。柱は1本もない。
パネル表面の文字は窓の役割も果たす。ムハンマド氏が過去に発言した3つのフレーズに基づいた内容で、「未来は待つものでなく、作り出すもの」などと書かれている。
キラ氏によると、パネルの張り付けには映画制作用ソフトを活用し、ロビーのらせん階段にはスチールを曲げる技術を持った潜水艦メーカーの技術を取り入れている。
同氏が技術の限界に挑戦して発展させたことによって、未来博物館は現在のドバイに、建築の未来を息づかせている。