ボーイング747 空の旅に変革をもたらした「空の女王」
初の高バイパス・ターボファン・エンジン搭載機
新型の飛行機と新型のエンジンは同時に開発される。新型機の設計者たちは高出力低燃費を目指すと同時に、エンジン開発者たちの軽量設計を生かそうとするかもしれない。
747も巨大な機体を飛ばし、航空会社に利益をもたらすために、エンジンの出力と効率の大幅な向上が必要だった。
米国の航空機用エンジンメーカー、プラット・アンド・ホイットニーが747向けに開発したJT9Dターボファン・エンジンは、ジェットエンジンの形状を永遠に変えた。このエンジンは前面に巨大なファンを備えている点でそれまでのエンジンと異なった。
膨大な量の空気がエンジンに流れ込むが、エンジンのコアに入るのはごくわずかだ。そこで圧縮された空気を燃料と混合して発火させ、タービンを駆動する。内部のタービンが巨大なファンを回転させ、ジェット機を前進させる。
エンジンが吸入した空気流の大半がエンジンのコアを通らず、迂回(うかい=バイパス)するJT9Dは、ジェット機時代初の「高バイパス」ターボファン・エンジンだった。
この設計のおかげで、エンジンはより静かでパワフルになり、燃料効率も向上した。
747は、この高バイパス・ターボファン・エンジンが搭載された最初のジェット旅客機だったかもしれないが、今やすべてのジェット旅客機が極めて信頼性が高く、高性能な高バイパス・ターボファン・エンジンを搭載している。
真のゲームチェンジャーは?
747は、社会が大きく変化した70年代初頭に就航した。747の登場により、空の旅や観光は飛躍的に成長し、世界の人々のつながりも大幅に深まった。就航1年目に、満席の747は乗客1人当たりの飛行コストを半分に削減し、航空機はあっと言う間に利用しやすい移動手段となった。
しかし、空の旅を最も大きく変えた航空機は747の旧モデルである707かもしれない。スムーズに飛行するこのジェット機のパイオニアは、それ以前のピストンエンジン搭載機からの飛躍的進歩だった。707は大陸間をわずか数時間で結び、世界にジェット機での旅行のすごさを見せつけた。
747が初飛行を行った時の副操縦士で、ボーイングの元航空業務担当副社長でもあるブライエン・ワイグル氏もそう考えている。
ワイグル氏は「短い飛行時間、より高い高度、優れた与圧システムなど、我々が707で示した多くの特徴は革新的だった」とし、「747は707と同じ方向にさらなる進化を遂げたが、707の功績は無視できない」と付け加えた。
「しかし747も素晴らしい航空機で、大好きだった」(ワイグル氏)