バリ島の登山禁止を検討、観光客の相次ぐ迷惑行為受け

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バリ島北部沿岸地域を捉えたドローンの空撮写真/joakimbkk/E+/Getty Images

バリ島北部沿岸地域を捉えたドローンの空撮写真/joakimbkk/E+/Getty Images

(CNN) インドネシアのバリ島で、聖地とされる山を訪れた観光客の迷惑行為が相次いでいる事態を受け、州知事が神聖な山々を守るため、登山活動を即日禁止する意向を表明した。

「山々は聖なる存在として崇拝されている。その神聖さが損なわれれば、それはバリの神聖さをおとしめるに等しい」。バリ州のワヤン・コスター州知事は5月31日の記者会見でそう語り、国内外の観光客だけでなく地元住民も、宗教儀式や自然災害に対応する場合を除き、登山やハイキングは許可しないと強調した。

対象となるのはバリ州の22山で、無期限で登山客の立ち入りが禁止されている。

知事は違反者に対する処罰には言及しなかったものの、同地では外国人団体が国外退去処分となり、半年間のインドネシア入国禁止を命じられていた。

「神々の島」と呼ばれるバリ島は世界でも有数の人気観光地だが、外国人の迷惑行為が後を絶たず、地元住民が業を煮やしていた。

バリ島有数の聖地とされるバトゥール山では2021年、ポルノビデオが撮影されたことを警察が確認した。

やはり宗教聖地とされるバリ最高峰アグン山では今年、ロシア人観光客が山頂で撮影したセミヌード写真をSNSに投稿。この男性は謝罪して神々への供えの儀式にも参加したが、4月12日にバリ島から退去させられ、インドネシア入国を少なくとも半年間禁止された。

登山や火山観光は、ビーチやジャングル、田園風景を目当てにバリ島を訪れる観光客に人気がある。ハイキングツアーやジープで火山をめぐる日の出ツアーは特に人気が高く、運転手やガイドを務める地元住民の収入源にもなっている。

地元住民は迷惑行為の取り締まりを歓迎する一方で、登山禁止に対しては、ガイドや運転手、宿泊施設の経営など観光業に携わる住民から憤りの声が噴出した。

「当局が迷惑行為を取り締まるのは理解できるし、支持している。しかし知事は観光に携わる私たち住民にも配慮すべきだ。厳格な禁止で観光客が来なくなればひどいことになる」。登山ツアーを営む現地のガイドはCNNにそう語り、「バリ島はやっとコロナ禍から立ち直り始めたばかりで、観光客を選んでいる時期ではない。代わりに警察のパトロールや罰金を導入してほしい」と訴えた。

知事が提案した登山禁止を実行に移すためには、地元議会が承認して法律を制定する必要がある。

インドネシア政府によると、登山禁止はまだ「検討」している段階だといい、サンディアガ・ウノ観光相は12日の記者会見で「登山禁止の問題は、まだバリ地域の複数の首長らの間で話し合っている段階だ」「最終決定すれば、バリ州知事から発表される」と語った。

同じ記者会見で発言したバリ観光局長は登山禁止を支持すると強調。もし登山禁止が正式に施行された場合、地元の山岳ガイドは「契約労働者」になると述べ、「我々は彼らのベンチャーを止めない。解決策を提示する」と語った。

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