米ジェットゼロ、翼胴一体型デザインで排出量削減を目指す

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ジェットゼロは2030年までに自社の航空機を就航させたい考えだ/JetZero

ジェットゼロは2030年までに自社の航空機を就航させたい考えだ/JetZero

革命的な可能性

ジェットゼロは、旅客機だけではなく、貨物機と空中給油機も同時に開発したいと考えているが、BWBの形状は特に空中給油機に適しているため、米空軍は同社に対し、実物大の試作機を開発し、「ブレンデッドウィング」コンセプトの性能を検証するための費用として、2億3500万ドル(約350億円)の資金を提供した。ジェットゼロは27年までに初飛行を行う予定だ。

しかし、全く新しい飛行機をゼロから作るというのは非常に大変な作業であり、既存の飛行機の派生型でさえ認証プロセスを完了するのに何年も要することがあるのを考えると、ジェットゼロの(30年までにBWB航空機の運航を開始するという)目標は野心的と思える。

ジェットゼロがBWBの分野で持つ強みとしては、同社のBWB機は、当初、ボーイング737のような現在運用されているナローボディー機(狭胴機)のエンジンを借用する点だ。ただ、同社は最終的に水素で駆動する完全にエミッションフリーの推力に移行する計画だが、その実現には、まだ開発されていない新しいエンジンが必要だ。

ジェットゼロのBWB航空機はまだ1件も受注はないが、オリアリー氏によると、複数の航空会社が興味を示しており、現在世界中の大手航空会社と交渉中だという。

しかし、燃料消費量の50%削減が実際に可能か否かはまだ定かではない。NASAとエアバスはともに独自の設計で削減できるのは20%としているが、米空軍は、BWB機は現在の空中給油機や輸送機に比べ、空力効率を少なくとも3割以上改善できるとしている。

コンサルティング会社アビエーション・バリューズの航空アナリスト、ベイリー・マイルズ氏は、BWBが実際にどれだけ抗力を抑え、燃費を向上させるかは、その飛行機の設計、構成、運用条件によるとし、抗力低減効果や燃費向上効果を見極めるにはさらなるテストが必要だと指摘する。

マイルズ氏は、BWBは将来性のある「画期的な」アイデアとしながらも、いくつかのハードルが存在するとし、その具体例として、空力的複雑性が増すことにより設計やテストが困難になる可能性があること、規制や認証に関する一連の課題、さらにBWBの形状が既存の空港インフラに適さない恐れ、の3点を挙げる。

マイルズ氏は、BWBの課題は他にもあるが、中でも特にこれら三つの課題を考えると、30年までにBWB航空機の運航を開始するというジェットゼロの目標は「非現実的だ」と指摘した。

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